ダム湖を見下ろしての野営
2013年 4月
4月の中旬です。
市街周辺の桜も散って、花見の時期も過ぎた。
例年ならそんな時期ならばめっきり春らしい陽気・・・とでも言うのが通例でしょう。
今年はいまひとつ暖かさを実感しません。
なにかこのところ、気象が極端な感じで夏日を思わせたり冷えたり・・・全国的にそんな乱高下の感じ。
さて、本日も単独行・・・自由気ままに野営へと赴く。
主幹国道を移動するが、なかなかいい調子で車を進めることができる。
この間までは、花見渋滞が酷かったと聞いた。
今日は閑散とした感じでとてもスムーズ。
とは言え、まだ最終的な行き先を決めていない。
とりあえず思いつきで2箇所ほど野営地を覘くが、なんだかいまひとつ食指が出ない。
そしてもうひとつ、以前から気にかかっている場所を覘きに行く。
残念・・・まだここは春の目覚めの途中で、この先GW時期が過ぎてからでないと雪は消えないだろう。
場内だけの残雪ならいいが、そこへの出入り通路の残雪だと華奢な車は簡単にスタックしてしまう。
車はもう、ノーマルタイヤ状態なのだ。
そんなこんなで、もう時間が夕刻近くになってしまった。
はてさて・・・どうする?
もう他を攻めるのも余裕が無いので、ここに決めてしまう。
場内は枯れた状況で、非常に好ましい。
ここのスポットは、さるダム湖を見下ろす展望所となっており、野営にも好適地なのだ。
ご多忙に漏れずこの広場にも、このような直火の跡。
焚き火台など持たない者の仕業とすれば、おそらくキャンパーではなくその心得とは無縁の者なのかもしれません。
もっとも、通常のキャンパーはこんなところで独り野営などするはずが無いか(笑。
そんな状況見聞をしていると県警のパトカーが入ってきていた・・・。
あちらも降りて見回りするようなので、挨拶がてら少し話をする。
夏場などは走り屋などがたむろしたりするので気をつけるように、とのことだった。
そして、雪解け水でダムも満タンになってこれから田植え時期を迎えてこの水が使われる・・・などと世間話へ流れる。
そのあと、免許証を見るでもなく引き上げていった・・・そっけないけどいいのか?それで?(笑
実は日が暮れるまでに、入れ替わりでダム見学に来た車が2台ほどあった。
こういうのが煩わしい・・・まぁ、こちらのほうには関心が無かったようだったが。
幕が張り易い場所だが、その他の環境面では良しとはいえない。
野生動物との遭遇はないが野営に無用な人間との接触がある。
さて、今回のテン場はこの広場からはみ出た一角とした。
今日の野営として最良な場所はここだ。
雪が消えた後、新しい草が生い茂る前の一時期にしか張れない部所だ。
TPO的にはこんなシチュエーションで広げるべき幕体ではないが、出掛けに連れて行けと声がしたのだ(笑
いつものようにサクリと張る。
よし!
非常に良い感じに張れた。
風が無いので烽火(のろし)をあげて遊ぶ。
燃すものがなかなか集まらず難儀するが、場内を隅々まで探って集めた。
うむ・・・なみなみと雪解け水で満たされた湖(人工湖)を見下ろす野営情景だ。
この情景はなかなか心地好い。
ブラックニッカのリッチブレンド。
安価な酒でもこうして味を工夫し、ビンもラベルも飲み手に寂しさを感じさせない工夫がいいではないか・・・さすが、MADE in JAPAN。
そのあたりは、高級品と庶民向け品とはっきり階級区別する欧米とは違うところかもしれない。
ストレートで遣るが飲み飽きないのはなかなか好い。
もう少し柔らかい口当たりの熟成具合なら満点なのですが、それはこのジャンル品では無理なこと。
それはともかく、このような野営では高級品の類ではなく、例えばクリアブレンドのような安酒のほうが、より野営情景にフィットする。
いいですねー。
少し肌寒い・・・やはり標高のせいか、あるいは気候のせいか。
それにしても、このまま春本番となり暖かくなってもらいたい・・・。
冒頭のように、もう花見も過ぎたにもかかわらず未だに春らしくないのです。
四季の移ろいは日本特有の美点だと云われる・・・
まさにそのとおりと思う。
だからこそ、大荒れせずにちゃんと移ろってもらいたいものだ。
こんな状況の場所での野営だ・・・笑
ダム湖の水面とその先の山並の風景は心地良いが、後ろはなんとも殺風景な斜面だな。
この一角は、今の時期にこの状況でしか張ろうとは思えないところ。
ユルユルやって日が暮れて焚き火もお終い・・・焚き火台やらの外道具はもう仕舞っておく。
ポツポツ降ってきた・・・やはり今夜は天気が崩れるか。
予報では雪も舞うようだが、季節は春なのだからもうそれほどでもないだろう・・・と思っていた。
この雨も強くならず心地良いポツポツ加減だし、冷え込みもさほどではない。
幕の中で寛ぐとラジオの低い音にも誘われ、明かりを消すといつしか眠りについた。
ザ・ザァーという聞きなれた音に目を覚まされた・・・
・・・ん??何事?
あれ?何だっけな?
この音は・・・そう、幕体に積もった雪が一気に側面を滑り落ちるときの音だ!
よく目を起こして天井に触ってみる・・・
雪だ!
テントに雪が積もっている・・・それも結構な量で。
なんという事だ・・・こんなに雪が降ってるなんて。
とにかく外に出てみると、降りかたが大雪の様相だ。
粉雪なんかではない、しっかりと重く大きな雪片が一心不乱に落ちてくる。
明け方まではまだまだ間があるが、これではとても朝まで待っていられない。
なにせ、車のタイヤはすでにノーマルタイヤへと交換したばかりなのだった。
うーむ、拙い。
このままでは・・・この場から脱出するのが困難となるのは容易に想像がつくではないか。
即刻撤収して脱出と判断した。
そのわずかな間にも、ズンズンと雪嵩が増してくるのが判る。
早くここから出なければ・・・
ノーマルタイヤであそこの道まで出られるだろうか?
撤収のわずかな間にも更に積雪は増し続け、車の発進はノーマルタイヤで限界ギリギリの状況だった。
当然スリップしながらで、勢いをつけてなんとか脱出した。
テン場とした場所を出て道路まで出るとまだ道路上には積もってはおらず、その黒い路面を見たときはホッとした。
それでもまだ安心ができない・・・視界も悪いほどに大粒のボタン雪がこれでもか、という降りようなのである。
いやはや・・・北海道や北東北でもないというのに、しかも、もう4月の中旬でGWも目前だというのに、なんなのだこれは(汗
・・・とかなんとかほざいているが、結局は己(おのれ)の思慮浅さの結果へと帰結する・・・それが独り野営ということ。
それはなにもこんな野営に限ったことでなく、例えば登山しかり、ツーリングしかり、一人旅しかり・・・。
安全な街はずれまで下りて行き、公園の駐車場に車を止めるとシュラフを纏って狭い席でもう一度寝る。
目が覚めると周りは明るくなっていたが、フロントガラスは雪で覆われている。
どうしたものかと外を見れば、依然として大雪ながら道路は黒く路面が出ており一安心。
しかし・・・なんとも面白いというか、スリリングな今回の野営の締め方ではあったな(笑
いつもならタイヤはGWが過ぎてからの交換であったが、こんなときに限ってそうではなかった。
帰路はスンナリ帰ればよいものを、シャーベット状に積もった道路にもかかわらず寄り道・・・。
そんな気は更々無かったのに、ちょっと覘いたショップで登山靴を新調してしまった。
GW大型連休が直前のこんなときにそんな大散財してしまっての帰宅でありました・・・って、これは(笑にする? それとも(汗にする??
END
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