世界史研究推進委員会のページ
[活動報告]2か月に1度のペースで水曜午後に行っている例会では、読書会や教材交換・実践報告を行っています。
読書会では2024年度から継続して桃木至朗『市民のための歴史学-テーマ・考え方・歴史像』(大阪大学出版会、2022年)を読み進めています。難解な本ではありますが、だからこそ委員のみんなで読む価値があり、教材化や日々の授業実践に接続すべく活発な協議が行われています。
教材交換や実践報告は、各自が自発的に持ち寄ることで議論の種になっています。日々の授業のヒントをいただけることも多く、今後も続けたい取り組みになっています。
さらに15時から始まる例会に合わせて、会場校の都合がつく際には授業参観も実施しています。教材交換ではわからない生徒の姿を見たり、各先生の取り組みを生の授業で体験したりすることは、委員会にとって大きな刺激となっています。
[2025年度高大連携講座]
本委員会の主要な行事が高大連携講座です。今年度は8月5日(火)~7日(木)にわたつて中央大学附属横浜高等学校にて行われました。本講座は高校生を対象に高校教員が50分で授業をした後、同じテーマで大学教員が90分で講義を行い、午後は教員らで研究協議を行っています。さらに今年度の午後は二部構成とし、参加者同士のグループディスカッション・授業者との質疑応答という展開となりました。
今年の大テーマは「結びつく世界をどう学ぶか?Ⅳ-20~21世紀のユーラシアー」となっており、4年間続いた「結びつく世界」という大テーマは今年で一区切りとなります。今年度の3日間の小テーマ・授業者は次の通りです。
8月5日(火)「20~21世紀のユーラシア東部」
・野渡智博(県立柏陽高校)
・杉山清彦(東京大学)
(参加生徒の感想(一部抜粋))
・東アジアについてのテーマでしたが、アメリカの動きにも関連づけて講義の流れを学ぶことができ、世界を立体的に捉えることができた。
・中国、またその周りの民族、周辺諸国の繋がりと、分け方など様々なことを学びました。少し難しく理解が出来きれていないですが、大まかな中国の考えや、民族自身の意識というものは理解できたと思います。ありがとうございました。
8月6日(水)「20~21世紀のユーラシア中央部」
・齋藤健太朗(県立横浜桜陽高校)
・前田弘毅(東京都立大学)
(参加生徒の感想(一部抜粋))
・ユーラシア中央部で西欧の影響を受けた後にどのような動きがあったのか、女性の立場についてもさまざまな立場があり、それぞれが具体的にどのようなものなのかということについて知らないことが多く、世界の見方が変わったと思います。
・インドネシアでの話など、実体験を交えた実際のイスラーム教徒の女性の話を聞くことができ、実際に本人達に会ってみたり、現地に赴く楽しさや重要さを知ることができました。
・流れ、詳細、関係、背景、視点それぞれを通して学べてとてもイメージが広がった。
・イランやアフガニスタン、トルコなどの世界史を高校で学ぶ上ではあまりスポットライトの当たらない所を解説してくれてとても助かった。
8月7日(木)「20~21世紀のユーラシア西部」
・武井寛太(埼玉県立与野高校)
・古谷大輔(大阪大学)
(参加生徒の感想(一部抜粋))
・興味深い授業をありがとうございました。それぞれの立ち位置の観点から世界史を考えるというテーマの導入として、本当に分かりやすくかつ価値観にも訴えかけられる授業だと感じます。また、現代の排外主義に対する反動とも言える動きがまだ世界にあるんだということを知れて嬉しく思います。
・すごくポジショナリティについて考えさせられる内容だった。世界史を学ぶ中でよく各ポジショナリティから事物がどう見えていたのかを考えるようにしていたが、それを今の自分たちのポジショナリティからどう見るかと考えるのは今までにない視点で学びになった。
・歴史や自分が置かれている舞台を知ることで自分のポジショナリティーの理解に役立てようと思った。私達はパターン化されるべきものではなく個人としてそれぞれであるという考え方で人と関わったり物事を考えたりしようと思った。
生徒は約60名、教員は約50名の参加となり、ここ数年で最も参加者の多い会となりました。20~21世紀の世界を見渡すことは当然容易なことではなく、授業に際してはあらかじめコーディネーターの古谷大輔先生から、「ポジショナリティ」という観点が提示されていました。(3日間の詳細を述べることは紙幅の関係上難しいのですが、例えば1日日は「多民族国家」としての中国と「中華」を標榜する中国という視点からこの時代を学び、現代的諸課題とつなげた講義が展開されました。
来年度以降の内容や構成については今後委員会で検討したいと考えています。世界史研究推進委員会では、一緒に研究していただける仲間を募集しています。ご興味のある方がいらっしゃいましたら、委員長の「上野」までお気軽にご連絡ください。
(shinji-ueno@pen-kanagawa.ed.jp)
(相模原中等教育学校 上野 信治)

(神奈川県高等学校教科研究会社会科部会報第95号より)
